論文を探す時に便利なWeb of science の機能についてまとめました。
データベースに関してまとめた別記事にWeb of science についても書こうと思っていたのですが、あまりにもWeb of science だけ長くなっちゃったので分けてます。
この記事を書いてから気が付いたんですが、われらが北の大学が良い資料を公開してくれていました。
Web of science に関してわたしが書いている内容は以下のリンクに全部載っているので保存しておくと見直したいときに便利だと思います。
web of science クイックレファレンスガイド by 北大図書館
というか、これさえ読めばこの記事べつに読む必要ない…涙
でも悲しいから気が向いたら読んでくださいね。
本記事はWeb of Science Core Collection の画面で説明します。
Web of science の機能たち
被引用件数や利用回数でのソート
Web of Science のPubMed との大きな違いはこの機能
利用回数とは?
- 世界中の研究者が全文を読んだり、ダウンロードしたりした回数
- 「引用はまだあまりされていないけれども注目されている」という状態を可視化
被引用条件での検索
- 高被引用文献(過去十年間で引用された回数が上位から1%に入っている文献)
- ホットペ―パー(過去二年間で上位0.1% に入っている論文)
その論文に関わる過去未来の論文を引用関係から見る
- 引用ネットワーク(Citation Network)でその論文を元に書かれた論文を見られる(未来)
- 引用文献(Cited References)でその論文が引用している論文を見られる(過去)
- 被引用数(Citations)のリンクをクリックするとどんな論文で引用されているのかを見ることができる
関連論文を見る
関連論文とは
- 直接的な引用-被引用関係にはないが、同じ先行研究を引用している論文
- すなわち、同じ先行研究から発展したライバル研究を知ることができる
- 「関連レコードを表示」で"検索した論文と一報でも共通の引用文献を持つ文献集合"が抽出される
検索結果の絞り込み
トピック(キーワード)で検索する際、以下の条件での絞り込みが可能です
- 被引用条件
- 分野
- ドキュメントタイプでの絞り込み
その論文が掲載されている雑誌のインパクトファクター (IF) を見られる
インパクトファクター (IF) とは、ジャーナル(学術雑誌)の影響度を評価する指標(数値)で、同じ分野の雑誌同士を定量的に比較する一つの手段です。過去二年間に雑誌に掲載された論文の被引用状況を元に、毎年新たな数値を算出しています(北大図書館HP より引用:ジャーナル影響度指標(インパクトファクター) – Hokkaido University Library (hokudai.ac.jp))。
IF が高い雑誌の論文は質が高いことが多いので、論文紹介等で選び方がよくわからないうちはIF が高い雑誌の論文を見ておくと無難。
Web of Science はこんなこともできる!
ある研究テーマに関して
- 動向を知りたい
- 関わる研究者や研究機関を知りたい
- どの機関から助成金が出ているかを知りたい
- 研究機関や研究者の影響力を見たい
- 特定の研究機関の共同研究先を知りたい
というとき
-
「検索結果の分析」で検索結果を様々な観点(出版物、著者情報、出版年等)で分析
-
引用レポートで検索したトピックについて書かれた論文について調べる
-
引用レポートでその論文を引用している論文について調べる
といった機能が役に立ちます。
ここで、試しに「Totoro」と検索してみましょう。
(ワードは適当に思いつきで選びました。)
1.「検索結果の分析」で検索結果を様々な観点(出版物、著者情報、出版年等)で分析
例えば、論文投稿の時、自分の扱うトピックがどんなジャーナルでよく投稿されているかが気になりますよね。「Totoro」はどんなジャーナルでよく扱われているのか見てみます。
「Publication Titles」を選択すると、
ジャーナル名の他にも
- 著者名 (そのトピックに関わる大御所がわかる)
- 研究分野(どんな分野でそのトピックについて研究されているかがわかる)
- 所属機関(どんな大学で盛んに研究されているかがわかる)
- 国/地域(どの国でそのトピックに関する研究が盛んかわかる)
- グループ(そのトピックに強いグループがわかる)
といったことが調べられるので、興味のあるテーマの研究について分析したいときに非常に便利です。
2.引用レポートで検索したトピックについて書かれた論文について調べる
3. 引用レポートでその論文を引用している論文について調べる
2と3は大体一緒なのでひとまとめにします。単にトピックについての引用レポートを作成するか、ある論文についての引用レポートを作成するかの違いでしかないです。
検索画面からトピック「Totoro」の引用レポート(Citation Report)を開いてみました。
さらに、下の項目を見るとTotoro 論文の引用数ランキングが見られます。Totoro をトピックに含む論文のうち、どんな論文がいつ・どのくらい注目を集めたのかが一目瞭然です。
ちなみにこのランキングも引用数の多さだけでなく、利用回数やアルファベット順など、条件を変えてソートできます。
ただ、このランキング見るとわたしのイメージしていたTotoro(ジブリ)に関わりそうな論文が全然ないですね。
このように、トピックの選択によって求めていた結果に辿り着けないこともあるので、求める情報にたどり着くためには関連ワードの適切な選択が重要である、ということです。
以上で今回わたしが個人的におぉ~となったWeb of science の機能の紹介はおしまいです。
引用レポートや検索結果の分析って論文探す時だけじゃなくてその研究に強い研究者や研究室、分野、大学、あるいは国も探せるから、新しい研究室を見つけるのにも使えますよね。
この記事が良い感じに誰かの役に立ったらいいなぁ。
それでは、また~